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「晩年の子供」山田詠美著

本日、紹介する本はこちらです。

 

「晩年の子供」山田詠美

 

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晩年の子供 (講談社文庫) [ 山田詠美 ]
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こちらも10数年ぶりに再読しました。

 

子供ならではのナイーブで純粋な視点から描かれた短編集のまとめです。

 

そして登場人物の子供たちは純粋でありながら、皆どこか大人びています。

 

山田詠美さんの小説の中では前回紹介した「トラッシュ」のような恋愛色の強い作品より、こちらの作風の方が私好みです。

 

特に印象的だったお話は、最終話に収録されている「ひよこの目」。

 

人は死期が近づいてくると、欲が落ちてきて最も穢れのない美しい顔つきになるとどこかで聞いたことを思い出しました。

 

そのお話の転校生の男の子も、そんな澄んだ綺麗な瞳で遠くを見ている子だったのでしょう。

あの年齢にして自分の死の予感を分かっていて既に覚悟していたのかもしれません。

 

それでも、確かに生きようとしていた瞬間はあったのだから余計悲しい、人間は思い通りにいかない・・そんな残酷な現実を受け入れなければいけない・・。

 

そして今の私も、もしかしたら「ひよこの目」をして生きているのではないだろうか?

 

胸がギュッと苦しくなるようなお話ですが、読後感は悪くなく時々読み返してみたくなります。

 

 

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