「疾走」重松清著
今日紹介したいのはこちらの本です。
重松清さんの「疾走」です。
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実は重松さんの作品では、この本を一番初めに読みました。
最初読んだのは今から9年前・・。
そして今年に入りまた再読です。
9年前は過激な描写が多くて目をそらしたくなるシーンも多くて、性的シーンは飛ばし読みしたりしていましたが今回はきちんと目を通して読めました。
結末を知っているから冷静になれたのか、私が年をとったのか分かりません。
最後の最後まで報われない物語です。 でも私はそういうお話が大好きです。
主人公は悲しい最期を遂げますが、主人公にとってはあれ以上生きてても・・という思いがあったのであの場面で生の幕を閉じて正解だったのかもしれません。
中学生の女の子・・みゆきが一番可哀想でした。
個人的に好きな登場人物はテツオとシュウジの父親ですかね?
あの心の弱さが妙にリアリティあって現実でもこの手の人物はいるいる・・・です。
そして本の中で忘れられない言葉 シュウジがエリにかけた言葉
「きっといつか走れるよ」
その言葉の通り、最後の最後の場面で、エリが松葉杖なしでゆっくり歩行するまで回復していたのが唯一の物語の救いでありカタルシスでした。
短い人生を疾走のようにかけぬいたシュウジの物語、重松作品NO1といってよいほど過激でインパクトはあります。
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