江國香織「落下する夕方」
久しぶりのブログ更新になってしまいました(サボりすぎですね汗)
少しずつですが更新頻度増やしていけるよう頑張ります!
今日、ご紹介するのはこちらの本です。
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この小説に最初に出会ったのは、10年前・・。
まだ私が高校生の頃です。
「憎みきれない 愛しきれない」
そのキャッチコピーに惹かれました。
当時、私は失恋したばかりで、ある雑誌で「失恋して悲しんでいるときにお勧めの本」と紹介されていたのがキッカケで購入しました。
以下少しネタバレになります。
主人公(梨香)が10年以上付き合っていた男性(健吾)に振られて、10か月かけて再生していく物語です。
ある日、元カレの恋人(華子)が主人公の部屋に入り込み、奇妙な同棲生活がはじまります。
自由で無邪気、純粋で奔放な華子は色々な男性を振りまわすし、ふらっと一人で旅行に出かけたり不思議な魅力を持つ女性です。
最後、衝撃な展開、華子の自殺という形で2人の同居生活は幕を閉じます。
筋書きはドロドロしている話なのに、江國香織さんの柔らかな表現力のせいでしょうか?
驚くほど淡々とした空気が小説の中に流れています。
元彼(健吾)の好きな女性といることで、少しでも健吾と繋がれる。
その気持ち、女性なら少しは分かるのではないでしょうか?
内心は嫉妬まみれになっていても(私は梨香のように淡々と受け入れられないです)、未練の残っている元彼の好きな女性が気になるし接点を持つことで彼に少しでも近づきたい、たとえそれが「切ない確認」だとしても。
気になった点は
*中島さんは一体どんな人?華子とワケあり?な関係なんだろうけど気になりました。
*華子が自殺した理由はなんだろう?
以下私の勝手な解釈ですが
ずっと逃げてきたのに逃げられなかったという類のセリフ、旅行中「不幸のどん底のような顔をしていた」ということにヒントはある気がします。
しかし、彼女の死は特別な意思を持った自発的な行為ではないと思います。
自然に生の外に出てしまった。華子は自殺したときは、ある程度元気だったのでしょう。
梨香はこちら側の人間でいようと決めて、健吾にもそうして欲しかった。
梨香が強姦するように健吾に抱きついたのは、生身の人間を感じて欲しかったからではと解釈しました。
そして最後の場面、梨香と健吾の幕切れも良かったです。
「引越そうと思う」
やっと失恋に決着がついた瞬間です。
江國香織さんの小説の中ではお気に入りベスト3入りなのですが、個人的には失恋小説はもっとドロドロした文章のほうが共感移入してしまいますね、苦笑
以前こちらのブログでも紹介した
小池真理子さんの「愛するということ」のほうが、私の感情には響いてきました。
落下する夕方は映画化もされています
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