遠藤周作「女の一生」
本日ご紹介する本はこちらです。
「女の一生」
一部「キクの場合」
二部「サチ子の場合」
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二部構成の小説です。
著者の遠藤周作さんは自身がキリスト教だったこともあり、宗教性の高い作品でした。
一部では切支丹の迫害、キクの一途な想いを中心に描かれています。
切支丹を信仰する気持ち&キクの気持ちも、とても直向きで純粋まっしぐらです。
「ひたすら一途に想う」これが一部のテーマですね。
二部は、戦時中を生きるサチ子と修平、そしてコルベ神父の物語でした。
こちらも登場人物はキリスト教徒です。
ただ二部の作風は、「自己犠牲」がテーマになっています。
一部は登場人物の「ひたむき」さに胸をうたれましたが、こちらは何かを犠牲にして自身の信仰との折り合いをつける・・という意味でより切なさが増していました。
一途に信仰するだけでなく、誰かのために犠牲になったり自分の人生の幕を閉じることを自身で決めたコルベ神父と修平・・。
特に欲と生の執着しかない収容所でのワンシーン、一人の男性の身代わりになったコルベ神父の「愛」の姿は涙が溢れてしまいました。
そして最後、静かな生活の中で「人生とはこの形で良いのだ」と激しい思いを胸に抱え込む主人公のサチ子・・。
果たして私は登場人物達のように「利他的」に生きられるのだろうか?
遠藤周作氏の中でベスト1の小説です。
高校時代はじめて読みましたが、20年以上経って再び読んでも感動しました。
まだ読んでいない方のために、
一部→二部の順番で読むことをオススメします。